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「生理の出血が少ない/月経過少」

「3か月前から生理の出血量が急に少なくなってしまい心配。昔は漏れ出るくらいだったのに、今では1、2日目でもナプキンを変える必要がないくらい。このまま閉経してしまうのでは…」30代女性のご相談です。

生理の出血量は人と比べることができないため、量の多い少ないの判断は難しいところです。一周期の一般的な出血量は1~3日目が多く、4~7日目になると徐々に減ってきます。また年齢によっても変わり、10~20代に比べて40代は少なくなる傾向にあります。では出血量が少ない、とはどのくらいの程度をいうのでしょうか?例えば、1~3日目でも日中ナプキンを替える必要がない、2、3日で出血が止まってしまう、出血は褐色~黒っぽく液体というより糟状のものがナプキンに少し付着する程度です。このような方は、生理の周期が長い(40日以上)、生理が1~2か月来ないことがある、貧血ぎみ等の傾向もあります。

では、なぜ生理の出血が少なくなるのでしょう?

東洋医学的に考えられることは、まず一つに血の不足(血虚)です。女性は10代で初潮をむかえ20代後半に血は充実し、35才くらいから徐々に血の貯蓄は減少して50才位で閉経となります。このような流れの中で、本来血が最も充実しているはずの20~30代で出血量が少ないというのは、血がきちんと生産されていない状態です。血が不足する原因として、胃腸の弱り(胃気の不足)、冷え(陽気の不足)、無理なダイエット(栄養不足)が考えられます。漢方では、六君子湯や人参湯など胃腸の働きを改善するものに四物湯という補血剤を加えた十全大補湯、人参養栄湯が汎用されます。しかし四物湯(当帰、地黄を含む)が入ると胃腸に負担になることもあるため注意が必要です。

二つめは血の滞り(瘀血)です。血はたえず体を温め、滋養しながら全身を巡っていますが、何らかの原因でその流れが妨げられると生理の出血に影響がでてきます。瘀血の特徴としては、出血量が少ない時もあればドッと一気に出血することもある、塊が多い、生理痛が強い、顔にシミやクマができやすい等です。漢方薬で瘀血を改善する代表的なものには、桂枝茯苓丸、桃核承気湯がありますが、毎月の生理の出血量が一定に少ない月経過少の場合、これらを単独で使用するケースは少ないと思われます。瘀血のある月経過少であるならば、血を生産する力も弱いため芎帰調血飲、芎帰調血飲第一加減などが適応となります。

最後になりますが、月経過少で相談にいらしている方の中には無理なダイエットをされていたというケースもありました。食事を抜く、食べないというのは栄養が体に入らないということです。それではせっかく漢方薬を飲まれても生理の出血量は増えません。まずはきちんと食べ物から栄養をとる、その栄養を血へ転化する。それをサポートするのが漢方薬の役割、とお考えいただければと思います。

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