「生理が終わって1週間くらいすると、決まって下腹部が張ってきて鈍痛があるので、婦人科へ行ったところ特に異常はなく、急激なエストロゲンの増減による排卵痛でしょうと言われました。痛みは鎮痛剤を飲むほどではないのですが、毎月のこと。仕事に集中できないこともあるので、漢方薬でどうにかならないでしょうか?」20代後半の方のご相談です。

排卵期は卵巣内に無数にある卵胞のうち、成熟した1つの卵胞から卵子1つが排出される、という生理現象があります。そこに関わるのが女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)や性腺刺激ホルモン(卵胞ホルモン、黄体ホルモン)。これらの分泌の増減は自分の意志では調整できない、すなわちホルモンバランスを自己コントロールすることは難しいのです。そのため排卵期の下腹部痛がつらくて我慢できない場合は、鎮痛剤をのむという対処になります。鎮痛剤を飲むと胃痛、食欲不振などの胃腸障害がおこる方もいらっしゃるので、漢方治療を求められるケースも増えてきています。
では排卵期の下腹部痛、違和感を漢方でどう考えるのか?
排卵期の痛みですので、排卵に至るまでの過程の中でスムーズにいかない、うまく流れない原因があると考えられます。それは卵胞→成熟→排卵までプロセスの中で、血流が滞って流れが悪い状態があるということ。卵巣や子宮の働きは、生理、妊娠、出産のためにあり血との関りが強いため、排卵や生理に纏わる痛みは血流の悪さに起因していることが多いと思われます。
血流をよくする漢方薬の代表的なものには、当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸がありますが、これらを何となく使っても効果はみられません。排卵期になぜ血流が悪くなっているのか、ここを探ることが一番のポイントです。例えば、排卵期の下腹部の痛みや違和感のほかに、生理痛、生理周期、出血量、塊、PMS、冷えなどの異常があるかなど、生理に関わる情報と全身状態をあわせて考慮した漢方薬を服用することで、血行がスムーズになり、痛みは改善されていきます。
おつらい方は、漢方専門の医療機関に一度ご相談されてみてくださいね~
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