「社会人になってから頬を中心にいつもニキビがあるので、漢方薬を色々と試してみたのですが正直あまり効果が分からなくて…」25才女性のご相談です。
いろんな漢方薬を試してみたけれども効果が分からなかったという場合、漢方薬ではダメだったというより、それが自分に合う漢方薬ではなかったというケースが多いと思われます。漢方薬は病態と体の性質に合ったものを選ぶことが最も大切です。同じようなニキビにみえても人が変われば使っていく生薬や方剤も変わります。ではドラックストアなどでどうやって自分に合う漢方薬を見つけられるのか?それは先ず、ニキビによく使われている方剤の特徴を知ることです。そうすることで、これは自分に合いそうかどうか見極めができる。次に飲んでみてどうだったか、良かった、悪くなった、変わらない等の判定をすることも大事です。という訳で、今回はニキビに汎用される漢方薬について、なるべく分かりやすく解説していきたいと思います。
☆十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
一般的に化膿性疾患(おでき)、アレルギー性皮膚疾患(蕁麻疹)に使われるため、化膿しやすく痒みがあったり変化の激しいニキビに適用すると考えられる。赤みや熱感が強い場合には、黄連、黄金の入った方剤、例えば黄連解毒湯を合方する。慢性化して赤黒い又は赤紫色でシコリのあるニキビには効果はみられない。
☆清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
思春期のニキビに用いられることが多いが20代以上でも勢いのあるニキビに使われる。炎症が強く、赤みや熱感が目立ち、化膿しやすく黄色い膿がでることもある。さらに顔のあらゆる場所にできては消えまたできてとニキビが散在して変化が速い傾向がある。便秘のある時はそのまま用いると一時的に悪化したように感じることがあるため、便通がよくない場合は大黄を適量加えるとのこと。
☆加味逍遙散(かみしょうようさん)
ストレスや生理前に悪化する赤みの強いニキビに汎用される。逍遥散(しょうようさん)に牡丹皮、山梔子を加えたもので、上にあがる熱を冷ます。生理前にイライラして過食しやすく、それに伴いニキビも赤く腫れて痛みを感じたり化膿しやすくなる。こめかみ、頬、アゴなどフェイスラインにできやすい。
☆桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
東洋医学で瘀血(おけつ)、という血流の悪い病態に使われる。ニキビの変化は激しくなく、いつも同じ場所に同じように赤黒く(赤紫色)、シコリのあるニキビが一定にある。ニキビのできてない皮膚は荒れやすく甲錯(魚の鱗のように固い、サメ肌)するため、お化粧のノリが悪い。その他、生理痛、生理血塊が多い、クマやアザができやすいという特徴がある。
☆桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
桂枝茯苓丸と同様に瘀血の病態に使われるのでニキビや体の状態は似ているところがある。前者とのちがいは便秘傾向でイライラして興奮しやすく、それと共にニキビも悪化するところ。桂枝、甘草の薬対で上衝を治めるため、頭痛、めまい、のぼせ、耳鳴り、動悸なども起こりやすい。
☆当帰芍薬散(というきしゃくやくさん)
赤みや熱感はほとんどなく、ニキビの先端に透明な水疱ができやすい。さらに生理の出血が終わるころに貧血様症状とともに体調やニキビが悪化する傾向がある。他に生理痛(温めると楽)、浮腫みやすい、生理が遅れる、出血量が少ない等がある。当帰が入っているため赤みの強いニキビには適応しない。また胃腸が弱い方は食後に服用するか少量から始めることをお勧めする。
以上、ニキビによく使われる6つの処方についての特徴を書いてみましたが、まだまだ表現が行き届かず分かりにくい部分もあるかと思いますので、折をみて更新していきたいと思っています。
ニキビで悩んでいる方々へ、少しでも参考になりますように!
参考コラム:「大人のニキビ/思春期ニキビとの違い」
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