「甘草を含む漢方薬を併用する時の注意点」
- kampo-kojyudo
- 6月3日
- 読了時間: 4分
「以前2種類の漢方をのんでいた頃、どちらも甘草が入っていたので副作用が心配に。。
その間にカゼをひいて葛根湯も飲みたくて…」60代、初診のご相談。

甘草の副作用について調べてみると「塩分や水分を貯め込むため、手足のだるさ、浮腫み、血圧上昇など偽アルドステロン症や脱力感、筋肉痛、痙攣などが起こることがある」とあります。自分が漢方を始めた頃はあまり言われてなかったと思いますが、最近ではこのような注意喚起が添付文書やネット情報にもあるので、気にされている方は多いようです。一方で少量でも甘草が入ってると何だか心配になるという方もいらっしゃるので、正しい情報を正しく受けとることが大切と感じています。
そこで今回は、甘草を含む漢方薬を服用、または併用する際に注意していただきたいことをお話します。
まず甘草という生薬は、病院から処方される漢方エキス剤やドラックストア等にある市販の漢方処方の約7割に含まれす。そのため2剤併用して両方に甘草が入っている場合は、どうしても甘草の量が増えてしまう。甘草の1日量の上限は生薬量で2.5g。たとえば加味帰脾湯を1日3回飲むと甘草2g、さらに抑肝散を寝る前に1回服用すると甘草0.5gで規定内に納まりますが、抑肝散を1日2回にすると総量3gとなりオーバー。
このように漢方薬を飲むときは、1日の甘草の総量が2~2.5gになるよう考えて、服用回数を調整するようにして下さい。その際、病院で処方された医療用漢方薬とドラックストアで買った一般用漢方薬では同じ処方名でも生薬の量は違いますので、添付文書など注意してご覧ください。
甘草を含む漢方薬ではノドの痛みに使われる甘草湯が有名ですが、これ以外は2種類以上の生薬から構成されています。寒気のカゼによくつかう葛根湯、こむら返りに芍薬甘草湯、月経前症候群やホットフラッシュに加味逍遥散など汎用される処方の多くに甘草は含まれます。
作用としては“急迫症状を治める”と薬徴という本にあるように、急な筋肉の引き攣れ、痛み、そして急性胃腸炎のような嘔吐下痢、パニック発作などに用いられ、突発的な急性症状には無くてはならない生薬です。甘草の薬能はこれだけではなく、組み合わさる生薬によって別の表情もみられます。たとえば甘草と桔梗がペアになると急な咽痛を静め、芍薬とペアになると足の引き攣りや腹痛を和らげ、乾姜と組むと冷えによる煩躁を鎮める。このように相手によって甘草の役割を変えることができるのです。ここが生薬の不思議なところであり、面白さでもあると言えます。
甘草がこれだけ多くの処方に組み込まれているという事から考えると、甘草は他の生薬との親和性が非常に高く、薬性が激しいとされる生薬が行き過ぎないよう緩和させたり、処方全体をうまく調和させて纏める働きもある。また生姜や大棗と配合されることが多く、胃腸を穏やかに保護してくれます。
さらにその名の通り"甘さ”が特徴で、仄かな甘みによって漢方薬の味がマイルドになるので、薬が飲みにくい時に甘草を少量加えると、優しく飲みやすい味になったと喜ばれることは多々ありました。
このように甘草は適量をうまく運用できれば、応用範囲の広い、優しい生薬といえます。
くり返しますが、甘草を含む漢方薬を毎日複数のむ時は、甘草の総量が2~2.5gになるよう服用回数を調整して下さい。その間に、足が吊るので頓服で芍薬甘草湯を飲みたい、ノドが痛いので桔梗湯を飲みたいと思ったら普段の漢方薬はお休みして頓服だけにして下さい。
それは甘草の副作用を予防するためもありますが、先ず急性症状を速やかに治めるという先急後緩の意図もあります。
以上となりますが、最後にもう一つお伝えしておきたいのは「生薬の反応には個人差がある」ということです。既定量だから大丈夫ということは決してありません。服用中に何か変調を感じたら漢方専門の者に必ず相談して下さい。
漢方薬を上手に活用して、少しでも穏やかにお過ごし頂けますように☆彡




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