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「自律神経失調症/よく使う漢方薬につて」

更新日:3月1日


「季節の変わり目になると頭が重くフワフワしたり、耳鳴り、顔のほてり、そして体の力がスーっと抜けていくような感覚に。今までは少し我慢すればやり過ごせたのですが最近は…」40代女性のご相談です。

今までは春先や秋口など季節の変わり目の一週間くらいだったのが、最近は数か月続いて困っているという方が多いです。恐らく、天気が落ちつかないためでしょう。

自律神経の乱れによる主な症状には「頭が重い、ボーっとする、クラクラやフワフワなどの眩暈、立ちくらみ、耳鳴り、動悸、寝つきが悪い、眠りが浅い、のぼせ、汗が止まらない、体が怠い、力が入らない、浮腫み、便秘や下痢、気分の落ち込み、焦燥感、不安感など」。これらの症状が毎日続くというより日替わりであったり、曇りやお天気の変化がある時に出やすかったりと発症のタイミングも人それぞれです。そのため、病理の焦点がしぼりにくく捉えにくい印象があります。市販の漢方薬をいろいろ試してみたけれど効果がよく分からなかったいう声もよく聞きます。

そこで今回は、一般的によく使われる自律神経失調症の漢方薬についてなるべく分かりやすくご紹介していきたいと思います。もしご自分に合いそうなものがあれば、お試しになってみて下さい。


☆柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

使用目標に「比較的体力がある人で、不安、不眠、イライラなど精神疾患に…」とあるが、あまり体格や体力は関係なく証(病の状態)に合えば効果はある。この処方の特徴は“胸満煩驚”といい、胸がいっぱいになり居ても立っても居られない、物音や光や出来事に過敏なまでに反応して、ビクビクしたり驚いたり不安になったり緊張感が強い。ほかに動悸、不眠などもあるかもしれないが、まずは胸満煩驚を一番の目標としてほしい。また大黄という便通をよくする生薬が入っているため、便秘がちな人に向く。胃腸が弱い場合には使用しない。

興奮や不眠の強いときは黄連の入った黄連解毒湯などを加える。


☆柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

柴胡加竜骨牡蠣湯を実証(症状が激しい)とすると、この方剤は虚証といわれる。「体力がなく、冷えやすく、貧血気味の方の神経過敏症に…」とあるが、この方剤の目標は“胸脇満微結”といって胸や脇腹辺りに微かな違和感、痞えのようなものがある。さらに急なのぼせ、火照り、汗、口渇、寝汗があることも。病後や加齢で体を滋養する体液が枯渇して熱(虚熱)を帯びるため、興奮や熱症状として現れる。


☆桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

「体質虚弱、やせて顔色の悪い精神疾患…」とあり、柴胡桂枝乾姜湯と同様に虚証(正気不足)のタイプに用いられる。桂枝湯に竜骨牡蛎を加えたもので、心身が弱く、疲れやすく、胃腸が弱く、冷えやすいことに加え、臍下や胸に動悸を感じたり、仮性の興奮のため火照りや寝汗があることも。

竜骨、牡蛎は高ぶった精神を鎮め、手足などの汗を収める。


☆半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

ノドのつまり、梅干しの種がひっかかるような感じが続くことを“梅核気”という。この症状があるとファーストチョイスで使用される。確かにうまく奏効すれば症状はスッと良くなるが、いくら服用しても何の変化もみられないことも。それは何故かというと「ノドのつまり」だけでは目標が不十分なため。半夏厚朴湯は小半夏加茯苓湯といって胃の水(痰飲)を捌いて、ムカムカや眩暈を治めることが基本にあり、さらに生姜と紫蘇葉を加えて滞った気と水を外に発散していく。そのため胃の不調、胃の辺りから込み上げてくるような吐き気、気持ち悪さ、眩暈などの症状を目標に加味していくとより効果的に使える。


☆加味逍遥散(かみしょうようさん)

「虚弱な体質で、生理不順、生理痛、更年期…」とあるため女性に特化した方剤と思われがちだが、神経が高ぶりやすい男性に使っても証に合えば効果はある。気の巡りをよくする四逆散、胃腸を整える四君子湯をベースに、血を養う当帰、興奮をしずめる牡丹皮、山梔子で構成される。イライラ、ウツウツしやすい情緒不安定な時に使われるが、のぼせ、火照り、多汗、寝汗など興奮から熱症状がみられる時に奏功する。ストレスがかかったり生理前になると、イライラして睡眠、胃腸、生理、情緒が乱れやすい特徴もある。


以上となりますが、自律神経失調症は心と身体のアンバランスさ、故の症状です。市販の漢方薬で楽になれば何よりですし、上手くいかない時は漢方専門の医療機関で相談されて下さい。

状態に合った薬を服用されれば、症状は良くなるばずです!



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