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「10代20代の生理痛/よく使う漢方薬について」

更新日:10月16日

「生理痛が年々強くなっていて、生理初日と2日目はお腹と腰がとにかく痛い。鎮痛剤を飲めばどうにか動けるが、1クールの生理で5~7錠飲むことに。低用量ピルを使う方法もあるけれど、なるべく自然なもので根本的に改善したい…」16才、高校生のご相談です。

このような10~20代の非常に激しい生理痛の相談が増えてきています。今まで市販の鎮痛剤を飲んでやり過ごしてきたけれど、より本質的なところから生理痛が起こりにくい体にしていきたい、と考えるからだと思います。

コラム「10代、20代の生理痛」にもある通り、若い方の生理痛は子宮の激しい収縮によることが多いです。そのため子宮収縮を和らげ血流を促すことで、激しい痛みが緩和されます。ここで大切なことは、なぜ子宮が過剰に収縮してくるのか、根本的な原因を探ること。10代の子宮は成熟過程でまだ未発達の状態、20代は環境の変化やストレスでホルモンバランスが乱れやすい年代です。さらに冷えや胃腸の弱さが加わることがあるため、個々の体の特長をみながら適切な方剤と生薬の選択が必要となります。

生理痛に使われるる漢方薬にはいろいろありますが、今回は汎用される方剤をできるだけ分かりやすく解説してみたいと思います。


☆当帰芍薬散(というきしゃくやくさん)

生理痛は下腹部から腰まで引きつるような痛みと重だるさがある。体は冷えやすく水をため込みやすいため、生理前後は特に浮腫みやすく体が重たい。さらに水で血が薄まるため貧血様症状を伴うことが多い。当帰、芍薬、川芎で血を補い、茯苓、朮、沢瀉で水の代謝を促す。生理痛には甘草を加えることで更に効果が上がる。また胃腸が弱い場合は食後に服用するか、先ずは胃腸を立て直すことを優先に考える。


☆桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

東洋医学で瘀血(おけつ)、という血流が滞りやすい病態に使われる。生理痛はチクチクするようなギューっと絞られるような激しい痛み。このタイプの特長は生理の出血時にドロッとした塊が一緒にでて、塊がでると生理痛も和らぐ。胃腸や体格は比較的しっかりしていて、クマやアザができやすい、頭痛、肩こりなどがあることが多い。この処方も甘草を加えることで、痛みをさらに緩和できる。


☆逍遙散(しょうようさん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)

ストレスや緊張が生理痛に影響を与える。例えば、試験や発表などでストレスがかかると生理痛がひどくなったり、環境が変わった後から痛みが激しくなる傾向がある。さらに特徴として、生理前の緊張感が強い。月経前症候群(PMS)として肩がこる、胸がはる、ガスが溜まりやすい、便が出にくい、イライラうつうつ情緒不安定、そして生理がくるとこれらの症状がすっと楽になる。

これらの症状に加えて、生理前に顔がほてる、イライラして家族に当たってしまう、赤いニキビができるなど、上部の炎症や熱感が強い場合には、牡丹皮、山梔子を加えた加味逍遥散を使う。


☆当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)

生理が始まると3,4日はとギューっと引きつるような痛みがあり、お腹を温めると痛みが和らぐ。PMSや血塊はほとんどないが、普段から手足と腹が冷えやすく、胃腸が弱い、腹痛下痢を起こしやすい特徴がある。当帰は胃にもたれることもあるため食後に少量から始め、徐々に増やしていく。


以上のように漢方薬は、症状と体の性質によって適応する方剤が変わります。さらに一工夫することで、効果が格段に良くなることもあります。

10~20代は生体の反応が良いため薬の効果が速やかに現れやすく、漢方薬の効果を実感しやすいと感じます。また若い頃から体や子宮内の環境を整えておくことで、30代40代に待つ妊娠、出産への準備にもつながります。

10代から漢方薬を、上手に活用くださいませ~



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