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「不安感/よく使う漢方薬について」

「友人との会食中に気持ちが悪くなってから不安感が強くなりました。他の人は大したことないと思うようなことでも気になってしまい心配になり、そのうち不安で頭がいっぱいに…」40代男性のご相談です。

何か心配事やストレスがあると、そのことが頭から離れず、イライラしたり、ドキドキして心が落ちつかなくなるという経験は、みなさんお持ちと思います。これは人の心が体に影響を及ぼしているためで、人間の自然な生理的現象です。不安感が強いために漢方薬を試してみたいと思われる方は、この生理現象を超え、不安感とともに起こる体の不調(息苦しい、ノドが痞える、胸がドキドキする、ムカムカやオエーと吐き気がするなど)が日常生活に支障がでるレベルで起こっている場合にお勧めです。

このような強い不安感とともに起こる体の不調に使われる漢方薬は沢山ありますが、その処方の一つ一つに特徴があります。漢方薬は分かりにくいと感じる方が多いと思いますので、なるべく分かりやすく個々の特徴をご説明します。

☆柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

一般の解説書には、体格のしっかりした実証タイプの不眠、動悸のある神経症に使うとありますが、体格よりも症状の激しさがポイントになります。胸脇部の圧痛、みぞおち辺りの圧迫感や膨満感、物音に敏感でビクッとしたり心臓がバクバクしたり、汗が止まらない、落ちつきがない等の症状が著しいときに適応します。柴胡は胸脇の気をスムーズに促し、竜骨と牡蛎で動揺した気を静める働きがあります。便秘のない場合は大黄を去ります。


☆柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

柴胡加竜骨牡蛎湯より体力のない虚証タイプに使うと書かれた解説が多いですが、体力での鑑別ではありません。胸脇部の圧痛、物音に敏感、動悸、多汗、焦燥感などは同じですが、柴胡加竜骨牡蛎湯よりも症状に激しさはなく穏やかです。体格は痩せ型で枯痩したイメージ、体の中で燻った熱が体液を消耗して、口の乾き、汗をかきやすい、寝汗、便秘などがあります。乾姜が入っているため冷えやすい体質でもありますが、上半身は籠ったような熱感があり、その熱が水を奪い、口乾などの乾燥傾向がみられるのが特徴です。


☆桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

上の2処方と比べて最も体力のない虚証タイプに使うと書いてあるものが多いですが、根本的な構成生薬が異なるので体力の有無では鑑別できません。この処方は桂枝湯(けいしとう)といって体が疲れやすい、冷えやすい、胃腸が弱いタイプの方が、何かをきっかけに疲労倦怠感が強くなり、ビクビク、ドキドキ、眠りが浅い、寝汗をかくなどの症状が出ている時に使うと効果的です。竜骨牡蛎が胃腸に負担になることもあるので、その場合は食後に服用されてください。


☆半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

ノドに梅干しの種が痞えたような(梅核気)というような症状に使われるのが一般的です。ただし、ノドの痞えと不安感を目標に半夏厚朴湯を長期服用しつづけても効果がみられないことがあります。半夏厚朴湯は小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)を内包するため、普段からムカムカしたり眩暈を起こしやすいのが特徴です。さらに厚朴と蘇葉が加わるので痞えや詰まり、気鬱を晴らしてくれます。食欲はなくても体はしっかりしていて、不安感とともに緊張感がつよく、几帳面な性格に適応する傾向があります。


☆苓桂甘棗湯(りょうけいかんそうとう)

茯苓と大棗で心を落ちつかせて、桂枝と甘草で下から突き上げてくるような動悸や吐き気、焦燥感などを治めます。特徴としては、不安感とともにこれらの症状が突発的、発作的に起こることです。電車に乗る時、地下に入る時、映画館の中、お風呂場など密閉空間にいる時やそこに入る前に起こりやすい傾向がみられます。4つの生薬から構成されたシンプルな処方のため、適合すると速やかに効果がみられます。


☆帰脾湯(きひとう)

胃腸の働きを改善する四君子湯(しくんしとう)を基本としているため、胃腸が弱く、体は痩せて血の気の薄い貧血タイプに使われます。茯苓、竜眼肉、酸棗仁、遠志が心を落ちつかせ、当帰で血を補う構成です。ですので、もともと胃腸が弱く貧血ぎみの方が何らかの原因で心身が疲労し、不安感が強くなり、眠りが浅い、夢が多い、ドキドキする、考えがまとまらいなどの症状がある時に適応します。熱症状や興奮がみられる場合は柴胡と山梔子を加え、加味帰脾湯とします。


以上です。

なるべく簡潔に、分かりやすくを意識しましたが、まだまだかみ砕けず理解しにくいところが多いかもしれず申し訳ありません。気になることがありましたら、いつでもお尋ねくださいませ~(^^)


参考コラム:「不安感/漢方でのアプローチ」


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