「9月の乾燥シーズンになると、髪の生え際と首の皮膚がポロポロとむけて痒い。メイクをしたりドライヤ-を使った後は特に乾燥するので、この時期はお洒落ができなくて…」20代、女子大生のご相談です。
アトピー性皮膚炎は乾燥肌、敏感肌といわれるように、夏の高温多湿から秋の気温と湿度の急激な低下によって乾燥と痒みがでてきます。乾燥してカサカサが進むとポロポロと皮がむけて脱落したり、亀裂が入って出血したりすることも。
このような乾燥肌を中医学では衛気不足(えきふそく)と考え、不足した体表面のバリア機能を補うために黄耆(オウギ)という生薬、または玉屏風散(ぎょくへいふうさん/黄耆、白朮、防風)、黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)を使うことが多くあります。
また乾燥してポロポロと薄皮がむける状態を皮膚の栄養不足と考え、当帰の入った当帰飲子、当帰建中湯が使われることもあります。このような黄耆、当帰を含む方剤は皮膚を保護したり潤すために必要な場合もありますが、私見ではこれだけでは治まらない皮膚の乾燥、脱落も多いと感じます。
黄耆が適応する皮膚の状態としては、皮むけしていない部分も含め全体的に弱々しく、元気がない。そして当帰も似ていますが、全体的に枯れて艶のない栄養不足の皮膚に奏功します。ただ当帰は血を養い温めて血行を促すため、赤みや熱感などの強い時に使うと炎症を助長させることがあるので注意が必要です。炎症が強い時には清熱作用のある生薬を一緒に使うか、まずは清熱剤で炎症を落ちつかせてから当帰、当帰製剤を加えていく方が得策と思います。
生薬一味、には特徴があります。その特徴を正しく理解して、適切に使うことで驚くほどの効果があることを最近実感しました。
ポロポロと薄皮がむける状態をくり返している方は、ぜひお近くの漢方専門の医療機関へ相談されてみて下さい。皮膚と生薬との対話が上手にできるようになれば、皮むけは良くなります!
参考コラム:「アトピー性皮膚炎/カサカサして痒い」
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