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「スッキリしない膀胱炎」

更新日:2022年12月25日


「外出時に冷えたためか、翌日から膀胱炎のような排尿痛と下腹部の違和感がつづく。抗生剤を飲んでもスッキリしないので漢方薬でどうにかならないかと思って…」50代後半の女性のご相談です。

何かと忙しい12月から冬の間は、膀胱炎のご相談が多いように感じます。特に40~70代の女性。冷えや疲労によって体の免疫力が低下し、細菌が繁殖しやすくなるためと考えられます。膀胱炎は細菌の繁殖によって粘膜に炎症が起こり、排尿痛、下腹部痛、頻尿、残尿感、血尿などの症状が起こります。王道の治療としては抗生剤の服用。これで良くなれば問題はありませんが、完治せず慢性化して長引いたり、くり返したりするケースもあります。このようにスッキリしない膀胱炎がつづく時には、漢方薬を試してみる価値が大いにあると思います。

膀胱炎は東洋医学的にみると、膀胱で熱と水が結びつく水熱互結という病態になります。ここでの「」は炎症症状を引き起こすため、排尿時の痛み、下腹部痛、血尿(尿が赤い)、臭いが強い、頻尿等がみられます。「」は「」によって蒸発し濃縮されるので、膀胱の尿は少なく、かつ濃くなります。このような膀胱の熱を黄ゴン、山梔子、滑石などの清熱薬で冷まし、さらに茯苓、猪苓、沢瀉、車前子、木通などの利水薬で排尿を促します。尿から熱を排泄させることで炎症を治める、これが膀胱炎の漢方治療で初めに考える一手となります。初めは濃くて少なかった排尿量が少しずつ増えて薄くなると膀胱の炎症が治まってきたサインですので、それと同時に不快な症状は落ち着くはずです。

ここで大切なのは、病態に合った漢方薬を服用することです。炎症といっても、鮮明な出血がティッシュにつくものもあれば尿が少し濃い程度のもの、また痛みの程度も人によって違います。それぞれの症状と個体差をみて処方考えるのが漢方薬の特長になります。膀胱炎によく使われる処方に猪苓湯、猪苓湯合四物湯がありますが、これらが適応する病態は慢性の膀胱炎にはあまり多くないと思われます。これらも水熱互結の病態に使いますが、虚熱といって口乾、便秘、火照りなど体液の枯渇と熱感がみられることが特徴となります。

このようにスッキリしない膀胱炎に使っていく生薬、漢方薬には種類がたくさんありますので、服用を検討されている方はぜひ漢方専門の医療機関に相談されてください_(._.)_


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