「中学生で生理が始まったのですが、出血量がものすごく多くて困っている。日中でも夜用ナプキンを1時間毎に替えたり、夜中起こしてもらわないと漏れ出てしまうことも。学校でトイレへ行けない時もあるのでドキドキ…」高校2年生からのご相談です。
10~20代の月経過多は、子宮や卵巣に何らかの器質的な異常(子宮筋腫、内膜症、卵巣嚢腫など)があることは少なく、卵巣機能が未成熟ゆえのホルモンバランスの乱れが原因とされてます。そのため生理の出血量が多いだけでなく、周期の乱れ、激しい生理痛、貧血、生理前の心身の不安定さ(PMS)を伴うことが多いです。このような場合にどうしたらいいのか、成熟するまで時を待つしかないのか…色々調べてみてやってみて今ここで漢方に行きついた、という方が相談にいらしてます。
最近はこのようなケースで病院で漢方薬を処方されたり、ドラックストアで購入される方も増えていて、一般的に月経過多には加味逍遥散、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散が汎用されているようです。そこで今回は、この3つの漢方薬の使い方を実際にイメージしやすいよう説明させて頂きます。
☆加味逍遥散(かみしょうようさん)
気の巡りを促す柴胡、芍薬、血を安定させる当帰、胃腸の働きを整える茯苓、朮、甘草からなる逍遥散を基本に、血中の熱を冷ます牡丹皮、山梔子が加わる。
イメージとしては、生理の時の出血に勢いがあり、トイレに行くと大量の鮮血がシャーっと出る。生理周期は早くなったり遅れたり、生理痛は月によって痛み方が違うなど状態が一定しない、変わりやすいのが特徴。月経前症候群(PMS)もあり、イライラやウツウツなど感情のコントロールができない、胸の張り、過食(スナックや甘い物)や食欲不振、ニキビの悪化など。
出血量の多い時は、黄連剤(黄連解毒湯など)を加えるとより効果が上がる。
☆桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
滞った血流(瘀血)を改善するもので、桂枝、茯苓、芍薬、桃仁、牡丹皮の5つの生薬からなる。血流が悪くなると停滞していた血が一気に流れることがあり、その時に大量出血する。出血はやや暗い紅色~紫色、ドロッとしたレバー状の塊が交じる。さらに激しい生理痛(痛みは塊が出ると楽に)、体に痛みが起こりやすい等が特徴。普段はあまり不調はなく、体の傾向としてクマ、シミ、アザができやすく顔や唇が黒くくすみやすい。
生理痛が強い時は、芍薬甘草湯を加えると強化できる。
☆当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
血を養う当帰、芍薬、川芎、水の代謝をよくする茯苓、朮、沢瀉から構成される。
元々この処方は婦人の腹中痛のために創られた方剤で、下腹部が冷えやすく激しい生理痛がある時に使われる。上記2つと比較すると、実証に対して此は虚証のため出血に勢いはなく、色は淡いピンク色でサラサラとした水っぽい出血が多くでるイメージ。下腹部が冷えて血流が悪くなるため生理痛の痛みは強く、腰の方まで痛んだり重だるくなる(カイロで温めると楽に)。その他、生理周期は遅れがち、貧血っぽい、浮腫みやすい、冷え性など。
血を養う生薬(当帰、川芎、地黄など)は胃腸に負担がかかることもあるので、胃腸の弱い方は食後に飲むか少量から始めてみると良い。
10代20代は生体が純粋なため、漢方薬の反応が素直で速いです。そのため体に負担のない自然なもので、月経過多など生理の不調を改善できれば一番だと思います。これからぜひ、漢方薬を上手に利用されて下さい!_(._.)_
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