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「胃が気になる(胃の存在感)/よく使う漢方薬について」

「夕食を食べすぎると朝ムカムカして気持ち悪く、胃が張って苦しい。なるべく腹八分目にして気をつけてるのですが、それでも胃が重い、ゲップ、胃液が込み上げる等、なんだかんだいつも胃が落ちつかないです…」50代女性のご相談です。

このように食べ過ぎると胃の調子が悪くなるという方は多く、定食1人前ごはん普通盛りだと食べ過ぎ、ご飯少なめだと大丈夫、揚げものはダメなど量と内容にも個人差があります。胃は本来、あまり意識をしない(存在感のない)臓器です。胃が気になるというのはそこに不調があるためで、それを改善できれば胃に意識を向けることはなります。

コラム「胃が気になる(胃の存在感)/漢方でのアプローチ」の中で、食欲がなく食べられない胃虚と、空腹感はあるが食べると悪化する胃気不和についてお話ししました。更にここでは、其々汎用される方剤についてなるべく分かりやすく解説していきたいと思います。


胃虚(食欲がなく食べられない)

☆四君子湯(しくんしとう)

人参、朮、茯苓、甘草などの生薬からなる胃腸の働きを高める基本処方。普段から食が細く、少し食べるとすぐお腹が一杯になる、胃が重い・張る・動かない、食後眠くなる、食べ過ぎると次のご飯が入らない等がある。体全体としては食べる量が少ないためエネルギーも少なく疲れやすい、そして胃がの動きが悪くなるとそれが腸にも波及して下痢、便秘の症状もでてくる。胃腸の調子は疲れると悪化し、胃腸の動きが悪くなると疲れやすくなるという相関関係がみられる。

☆六君子湯(りっくんしとう)

四君子湯に陳皮、半夏という胃の痰飲を除く生薬を加えたもの。痰飲とは、水がうまく流れず溜まってドロドロに濁ったもので、四君子湯の症状に加えてムカムカ、吐き気、ゲップ、何かが上がってくる感じがある。

☆人参湯(にんじんとう)

四君子湯の茯苓、生姜、大棗を去り、乾姜を加えたもので、四君子湯の症状に加えて、お腹や手足が冷えやすい時に使う。お腹が冷えると腸の蠕動運動が過剰になるため下痢軟便になりやすい。疲れと冷えで食欲がなくなったり、下痢軟便になるのが特徴。


◎その他、一般的に十全大補湯、人参養栄湯など(中医学で気血両虚といわれる病態)も食欲不振、体の疲れ、病後の体力回復に汎用されますが、胃腸が弱い時にこれらを飲むと余計に食欲がなくなったり、胃が重くなることがあるので要注意です。これらに含まれる当帰、地黄が体を養い潤す(滋養)生薬で、これらが胃腸に負担になることがあるため胃が弱っている時にはお勧めできません。まず四君子湯、六君子湯で胃を立て直してから、必要あれば服用するというステップを踏んだ方がいいと思います。


胃気不和(空腹感はあるが食べると悪化する)

☆半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)

半夏を主薬として黄芩、黄連、人参などで胃の痞え(心下痞)をとり除くことで、スムーズに消化できるよう促す。症状としては、胃が痞える・重い・張る、ムカムカ、気持ち悪い、ゲップ、お腹がグルグルして下痢しやすい。これらの症状は食べると悪化するのが特徴。

☆柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)

小柴胡湯と桂枝湯を合わせたもので、漢方解説書には小柴胡湯の胸脇苦満、往来寒熱、飲食不節、心煩喜嘔の症状に表証(頭痛、鼻水など)が加わったものと説明されるものが多い。しかし別の見方として、桂枝湯を基本に柴胡、黄芩、半夏、人参を加えたものとも考えられる。桂枝湯が合う体の傾向は、疲れやすく、冷えやすく、胃腸が弱い。その上に胃が少し重たいような、張るような、気持ち悪いような症状がみられる。これらの症状は強く激しいというよりは、何となくいつも胃が不快で胃の存在が気になる、という微妙な不快感がつづく。その他の症状として頭痛、胃痛、腹痛、下痢など慢性的な痛みや炎症をくり返しやすい傾向もある。


以上になりますが、分かりにくい部分があればいつでもお尋ねください。

いろいろな体の不調の相談を受けていますが、胃の不調は漢方で改善しやすい疾患と思います。胃がいつも気になる方は、ぜひ漢方薬をお試しください。その時はなるべく漢方の経験を積まれた医療機関で相談して体に合ったものをお飲みくださいね~🍵


参考コラム:「胃が気になる(胃の存在感)/漢方でのアプローチ」

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