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「産後の体調不良」

kampo-kojyudo

「5年前に出産してから、立ちくらみ、むくみ、冷え、お腹の張りなど体の不調がつづいている。それに沢山食べてないのに最近3㎏も太ってしまい…」40代女性のご相談です。


出産後はこのような身体的な不調に加えて、漠然とした不安感やソワソワして落ちつかない、気持ちが沈む、眠れない等メンタルの不調を訴える方も少なくありません。出産とは、それだけ女性の体に大きな爪痕を残したり、変化をもたらす出来事といえるでしょう。


産後の体の状態を東洋医学的に考えてみると、出産で大量出血したならば血は不足し、悪露ができらなければ瘀血、尿が少なく浮腫みがあれば水滞、感情が不安定になりやすい時は疏泄失調などと病理を見立てることができます。これらが単独で起こることもありますが、いくつかの病理が混在しているケースも多々あります。その時は、複数の病理を一気に処理するのか、一つずつ処理していくのか戦略を立てることが必要となります。ここをどう考えて進めていくかは、正解というのはなく治療者のセンスになります。すなわち目的地にどうやって到達させるかは、治療者のセンスと経験に任せるしかないのです。ですから、なるべく信頼できる漢方の先生に相談してください。


産後の不調によく使われる漢方薬に芎帰調血飲、さらに瘀血(血の滞り)が強い時は芎帰調血飲第一加減という方剤があります。構成生薬が13~21種類と多く、漠然とした産後の不調に使いやすいのですが、何となく使っても効果を実感しにくいともいえます。


上記の相談の方は、心下(みぞおち)に溜まった水が冷えて動かなくなったことで色んな体調不良が起こり、全身の代謝も悪くなり体重増加となっていました。心下の水を捌く漢方薬を飲んでもらうと、すぐに尿量がふえて膨満感、浮腫みがよくなりました。その後、下腹部の血流を促すよう微調整したところ生理周期が整い腰と尻の冷えが改善していったため、6か月で無事終了となりました。この方は漢方薬をきちんと服用するとともに、ウォーキングを始めて代謝が上がるように生活習慣も変えて下さいました。すばらしいです!


最後になりますが、産後の体は人によって違います。だからこそ、個人差に重きをおく漢方薬が合っているのだと思います。不調がある時は無理をせず、誰かに相談したり、何かの力を借りてもいいのではないでしょうか。


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