以前、PMS(月経前症候群)で漢方薬を飲まれていた方が久しぶりに来店されました。
体調を伺ったところ、「今妊娠6か月で経過は順調なのですが、一昨日からカゼを引いたみたいで…くしゃみ、鼻水、少し寒気もあるので、いつも飲んでいる葛根湯を飲もうと思ったのですが、妊娠中なので一応相談してからにしようと思って。」
この時、いらしてくれて良かった、と思いました。
漢方薬のイメージとして、作用が穏やか、副作用は殆どない、妊娠中にも安心、と考える方が多いようです。その為いつも飲んでいる漢方薬なら大丈夫、という思い込みは要注意です。
妊娠中は胎児を養育するため、体と心が大きく変化します。
漢方薬を含め、いつも飲んでいる薬、サプリメントなど、胎児への影響はないか、そして今の体調に合っているかを再度、確認くださいませ。
さて妊娠中の漢方薬についてですが、特に発汗作用の強い麻黄を含む麻黄湯、葛根湯、小青竜湯などは妊婦の方にはお勧めできません。
その他、活血作用のある桃仁、牡丹皮、紅花
瀉下作用のある大黄、芒硝、麻子仁
清熱作用のある黄連、石膏、滑石
これらの生薬を含む製剤は妊婦の方には基本的に禁忌とお考えください。
吉益東洞の『薬徴』という書物には「故あれば殞すことなしと。此の証にして此の薬を用ふ』とあります。すなわち、「理由があれば、どんな薬を使っても流産することはない」と記されてます。この中では「理由があれば…」という言葉がキーポイントで、これは「根拠があれば」、すなわち「正確な病態の把握ができれば」ということになります。
ですので、妊娠中の体調不良(カゼ、つわり、浮腫み等)で漢方薬を飲まれたいと思っている方は、自己判断ではなく、ぜひお近くの漢方専門の医療機関へ相談されることをお勧めします~
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