「数年前から食後の口臭が気になり、病院で検査してもらったが異常はみられない。特に職場でお昼を食べた後に人と話すのをためらってしまう…」40代女性のご相談です。
この方の口臭は、特に揚げ物を食べた後やお酒を飲んだ後、または痰を出した時に生臭いような腐敗臭がするとのこと。
その他の症状として、いつも喉の奥が荒れていて痛い、鼻水がノドに落ちてくる。さらに気圧変化で起こる片頭痛。
これらを整理すると、
①口臭⇒油の強い、または味の濃い食べ物、アルコールによって胃に熱と痰が生成される
②後鼻漏⇒鼻水が後ろに流れることで上咽頭から気道に慢性的な炎症がある
③頭痛⇒気圧の変化で激しい片頭痛がある
このように症状がいくつかある場合、その治療方針を考える時によくある方法が、①~③のそれぞれに当てはまる方剤を一緒に使うことです。
例えば①半夏瀉心湯+②柴朴湯+③五苓散、3種エキス剤の合法。
症状だけで考えてしまうと、このような的を得ないザックリとした処方となってしまいます。
大切なのは、主訴に対して体の中で起こっていることを正しく想像して治療方針を組み立てること。
この方は、初め①②を一括処理してから次のステップとして③を処理する作戦でいきました。
まず上咽頭から胃の痰飲(ドロドロの痰)を除いて慢性に起こっている炎症を鎮めるような方剤を投薬、微調整しながら2か月で①②は改善し、その後2か月で③も気にならないレベルに。
③の処方は、実は①②とほぼ同じ内容でした。すなわち、3つの症状(標)の病因(本)は同一線状にあったということです。
不思議に思われるかもしれませんが、よくある現象です。
複雑に見えても一つづつ紐解いていくと一本の線で繋がっていることもあり、それが漢方の奥深さであり面白さだと思います( ´∀` )
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