「もともと心配性なのですが、友人の訃報を聞いてから急に不安感が強くなり、地下に入ったり電車に乗ると考えただけでドキドキしてきて手に汗にぎるる…」30代女性のご相談です。
何かをきっかけに不安感を強く感じるようになった、という経験はあるかと思います。では、どのようなケースに漢方薬が効果的なのか、あるいは必要はない、効果は期待できないのかについてお話しします。
初めにお話ししますが、不安で不安でたまらないので安定剤のような漢方薬が欲しいという場合は、それに代わるような漢方薬はありません。なぜなら、漢方薬は感情だけをコントロールするのは難しいからです。
不安感にもいろいろなケースがありますが、心配事やストレスによるものであるならば、漢方薬を飲む前に、まずはその原因となっているものをなるべく取り除くようにしてみるか、ストレスの受け止め方や対処法を変えてみることが最善と思います。
では漢方薬はどのような場合に効果を期待できるのかですが、大きなストレスがないにもかかわらず起こる不安感、そしてそれと共に起こる「胸が苦しい、ノドが痞える、何かが突き上げてくる、汗が止まらない、ドキドキ、ムカムカ」などの症状がある方にお勧めです。このような症状、そして体の状態をみて漢方薬を合わせていくことで、体の症状が一つずつ楽になっていきます。そうするうちに、不安感が和らいでいく。すなわち漢方薬は「体から心へのアプローチ」なのです。不安感に傾きやすい体を調整することで、心がしなやかに穏やかになる、という考えです。
生活に支障がでるほどの不安感、そして体の不調がある方は、漢方薬を選択肢の一つとして検討されてみて下さい。力になってくれるはずです!
Comments