「3年前から頭、顔、首、背中に湿疹がでいて、皮膚科で処方された一番強いステロイド薬をぬると落ち着くのですが、しばらくするとまた出てくる。ずっとこのくり返しで、どうしていいやら?
結局、皮ふの表面上の問題だけではなく、体の中の湿疹を起こさせている何らかの状態、これを変えないと同じことの繰り返しになってしまう、という事に気が付いたのです。漢方薬で湿疹がでない体質へと変えていくことはできますか?」70代女性のご相談です。
湿疹は、発疹、赤み、痒み、熱感を伴うことが多いため、治療はステロイド外用剤を使って炎症をおさえたり、乾燥が強い時は保湿剤を適宜使っていくという治療が一般的です。急性湿疹であれば、適切なランクのステロイド外用剤をぬると3~4日で劇的に良くなります。1~2週間つづけて炎症が完全に治まったら1日おき、2日おきとぬる頻度をゆっくり減らしていくことで再熱せずに湿疹は治まります。
ただ、一度治ったと思われた湿疹が同じ場所にできたり、また別の場所にでてきたりをくり返す慢性湿疹へ移行した場合は、発疹を起こさせる体の状態が構築されていると考えられます。この体の状態がつづくと、いくら外から炎症を抑える外用薬をぬっても一時凌ぎにしかなり得ません。体の中のある状態が、皮ふの炎症をひきおこす火種になっているからです。その火種の原因をきちんと見極めて、適切な生薬を使った漢方薬を服用することでくり返す湿疹を改善していくことはできます。
炎症性の湿疹というと、漢方薬では一般に黄連、黄芩などの清熱燥湿剤といわれる生薬を主に含んだ黄連解毒湯、温清飲、柴胡清肝湯などが使われますが、これらを短絡的に使ってもなかなか効果がみられないことが多いです。
今回のご相談の方は、胃腸が弱く食べるとすぐに便意があり、年々体重が減って痩せて、体力と抵抗力が落ちていました。湿疹には赤みはありますが淡く、頭皮や顔、肩などに勢いなく散在している状態でした。先ずは食べたものをしっかり吸収できるよう胃腸を整えることが先急と考え、脾胃の薬をのんでもらい、その後湿疹の薬へとシフトしていったところ、時間はかかりましたが改善していきました。
この方のように、体の虚(胃腸の虚)が湿疹を繰り返すケースもあります。
一人ひとり体の中の状態は違います。それを考慮して、なぜ湿疹をくり返すのか…これを適切に見極めることができるかが漢方薬で改善し得るかのポイントになりす。
ですので、漢方薬で湿疹をくり返さないような体へ変えていきたいと思われる方は、ぜひ漢方専門の医療機関に相談されてくださいね📣
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