「満員電車や仕事の会議になるとノドが痞えて、動悸、不安感も強くなり落ちつかなくなる。市販の半夏厚朴湯を飲んだところ不安感は少しいい気がするが…」40代男性のご相談です。
この方のように、一部分は改善したけれど他の症状が残っているのでどうにかしたいというご相談があります。このまま同じ薬を飲んでいれば他の症状もとれるのか、それとも漢方薬の方剤を変えた方がいいのか自分では分からない…それであれば専門の人にみてもらった方がということでいらっしゃいました。結果としては、柴胡加竜骨牡蠣湯加減で1か月過ぎたころからノドの痞えと動悸が治まり、高かった血圧も落ちついてご本人も驚かれていました。そして4か月で無事に漢方薬を終了!
ノドの痞え、動悸、不安感に半夏厚朴湯は間違えではありません。というより症状からみると第一選択薬としては正解だと思います。ただし半夏厚朴湯は小半夏茯苓湯を基本にしたもので、ムカムカや吐き気など胃の辺りの不快感を伴うことが多いです。これは痰飲といって代謝されないドロドロに凝集した濁水、それが気血の巡りを妨げてノドや胸の痞えとして現れます。
このように症状には必ず病因があるので、それを見定めて漢方薬を選ぶことが大切になります。症状だけを追って何種類もの漢方薬を飲んでみても効果は得られないと思います。また人の体は季節、環境、ストレスなどで体調に波が出るため、今まで良くなっていたのに、ある時から元に戻ってしまったということもあります。このような時でも落ちついて病態をみて、同じ処方でいくべきか、微調整が必要なのか、別の処方に変更すべきか適切な判断が必要です。それが難しい時には漢方専門の先生に相談されてみて下さい。
最後に、自分に合った漢方薬を服用することと共に大切なのは、ライフスタイルの見直しです。体の冷えやすい方は温める漢方+温める飲食物、血行の悪い方は血流を促す漢方+お風呂とストレッチなど。漢方+αでさらに効果を高めていきましょう~✊
参考コラム:「あと一歩、漢方薬の効果を高めるには②」
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